
『スターウルフ』は、エドモンド・ハミルトンの小説を原案として、1978年(昭和53年)4月2日から同年9月24日まで読売テレビ制作、日本テレビ系で毎週日曜日19:00 - 19:30に全24話が放送された、円谷プロダクション製作、三洋電機グループ提供の特撮テレビ番組。
円谷プロ創立15周年を記念して製作された本作品は、映画『未知との遭遇』や『スター・ウォーズ』のヒットをはじめとするSF映画ブームを反映して企画された。監修に宇宙ロケット工学の糸川英夫を迎え、対象年齢を高めに設定、1クールごと完結の連続ドラマの体裁をとり、映像表現やストーリー展開に数々の新機軸を盛り込むというそれまで日本になかったタイプの本格SFドラマとしてスタートした。
アメリカのSF小説作家「エドモンド・ムーア・ハミルトン(Edmond Moore Hamilton - 1904 - 1977)」のスペースオペラ小説のシリーズを「円谷プロ」が映像化した特撮テレビ番組、スターウルフ。
小説は、
- The Weapon from Beyond (『さすらいのスターウルフ』) 1967年
- The Closed Worlds (『さいはてのスターウルフ』) 1968年
- World of the Starwolves (『望郷のスターウルフ』) 1968年
等が出版されているようです。
当時は、映画 ►「スターウォーズ」や「未知との遭遇」が公開された年であり、空前のSFブームが起きていました。
そんな中、「円谷プロ創立15周年」を記念して、「エドモンド・ハミルトン」の小説を原作にして製作されたのが本作です。
同時期には、「宇宙からのメッセージ」(東映作)、「惑星大戦争」(東宝作)等、各社が競って宇宙もののSF作品製作に取り組んでいたこともあって、円谷プロとしても、この流れを無視する事はできなかったのでしょう。
■あらすじ
ヴァルナ星に本拠を置き、大宇宙で破壊と略奪の限りを尽くし恐れられる略奪集団「ウルフアタッカー」。
しかし、そのエースである地球人「スターウルフ」こと「ケン」は地球に侵攻した時、一瞬の躊躇が原因で仲間であり恋人「リージャ」の兄であるスサンダーを殺してしまう。
この瞬間から裏切り者として仲間に追われることとなったケンは逃亡の末、地球の「スペースコマンド」に保護された。
キャプテンの「ジョウ」はケンの身体能力から彼がスターウルフであることを知ったが、隊員にはそれを隠し彼をメンバーに迎えた。
一方、ヴァルナでは、兄をケンに殺され復讐を誓った恋人リージャもその行方を追い始めた。
宇宙船「バッカスⅢ世」とともに宇宙を駆けるケンの明日は!?
原作小説では「スターウルフ」という言葉(名詞)は、宇宙の無法者たるヴァルナ人の総称・異名として使われていますが、本作では主人公ケン(新星 拳)を指す「通り名」になっています。
当初は原作の忠実な映像化を目指しており、企画書や初期脚本では、登場人物や固有名詞も原作と同じものを使用する予定だったようですが、後に変更されたみたいです。
うん、まあ、さすがに、日本人キャストに英語名は、違和感あり過ぎるでしょうからね(^^;
これは、正しい改変だと思います。
ちなみに、本作は、英語版も作成され、アメリカに「逆輸出」されたみたいです。
はい、それでは、主題歌、行ってみましょう。
まずは、オープニング曲、「青春の旅立ち」。
スターウルフ OP
※フルコーラスバージョン
勇壮な曲ですね。
オーケストラ風の演奏が豪華で、「スペースオペラ」のイメージに合わせたような曲だと思います。
続いて、エンディング曲、 「さすらいのスターウルフ」
スターウルフ ED
静かな始まりから、一気に転調して勢いのあるメロディになるところが格好良いですねー。
オープニング、エンディング共に歌っているのは、「ヒデ夕樹(ひで ゆうき)」。
アニメ(「►あしたのジョーED」)や特撮(「►キカイダー」)など、多くの作品で主題歌を歌っていた人ですね。
力強い歌声と曲が合ってます。
さて、スターウルフ。
SFブームに乗じて製作されたとは言え、そのクオリティは、さすがに特撮の円谷プロ。
メカニックは、かなり格好良いです。
巨大ヒーローのイメージがある円谷プロですが、よく考えたら、ウルトラマン等に登場する地球防衛軍の戦闘機も格好良いですし、本作の10年前(1968年)には、「►マイティジャック」も製作していますからね。
そんなメカニックをちょっと見てみましょう。
■バッカスⅢ世号

「スペースコマンド」の小型高速宇宙船。
本来は旧式化した艦であるが、キャプテン・ジョウの意向で原型をとどめいないほど魔改造され、ブラックホールに飛び込める耐久性と、小型戦闘艇とドッグファイトできるほどの高い運動性を持っている。


これは、格好良い!
■ステリューラー
未来的なデザインで、これも良い。
■ウルフクロー
あれ?
これ、「スターウォーズ」に出てくる「Xウィング」に似てね?
どうですか?
どれも、格好良いデザインですね。
これら、スペースオペラの目玉となる宇宙やメカニックの特撮には新技術が多く導入され、その完成度は高く評価されているようです。
しかし、特撮監督の「佐川和夫」と視覚効果の「中野稔」のこだわりが強過ぎて、テレビ局への納品がぎりぎりになることが多く、初期には静止画が多用されたとか、第3、4話の段階でワンクール分の特撮予算を使いきってしまった、などのエピソードがあるようです。
おいおいおい(^^;
最初の数話で予算使い切ってしまったってwwww
ちなにみ、本作を監修したのは、ペンシルロケットの開発者であり、「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」と呼ばれる、宇宙工学博士の「糸川英夫」博士。
探査機「はやぶさ」が目指した小惑星「イトカワ」の名前の由来にもなっている偉人ですね。
本作がいかに、本格的な作品を目指していたが伺えますね。
その、糸川先生の「SFという言葉は古い」という考えによって、宇宙飛行士を意味する「アストロノート」にちなんだ「アストロノーティカドラマ」という新語まで作られたようです。
しかし、これほど、力の入れた作品でしたが、それまで日本になかったタイプの本格SFドラマだったせいか、人気は低迷。
第14話より「宇宙の勇者 スターウルフ」に改題し、コメディーリリーフとしてロボット(コンパチ)を登場させたり、
18話以降は一話完結のわかりやすいストーリーにするなど、対象年齢を下げた路線変更を行ったものの結果は変わらず、当初の予定(4クール)を大幅に下回る全24話で終了してしまいました。
はい、という事で、スターウルフ。
SFブームの中、円谷15周年記念として製作されたスペースオペラ作品。
その特撮技術は、当時としては、クオリティが高く評価されましたが、人気を獲得するには至らず、マイナーな作品となってしまいました。
映像ソフトは、2014年にDVD-BOX(全2巻)が発売されています。
スターウルフ DVD-BOX
興味のある方は、ぜひ。
以上
※みなさんの感想、思い出など、コメントお待ちしております
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